歯を失ってしまった場合の
3つの治療法
歯を失ってしまった場合、そのままにしておくのは良くありません。失ってしまった場所にもよりますが、次のような問題が起こる可能性があるからです。
- 顔の形が変わってしまう
- 口を開けたくないので、人とのコミュニケーションが減る
- 笑顔が少なくなるなど、表情が乏しくなる
- 歯がない部分から空気が抜けて、発音しにくくなる
- 食べ物を噛み砕けず消化が悪くなる
- 認知症を発症する可能性が高くなる
これらの問題が起こるリスクを避けるためにも、歯を失ってしまった場合にはそれを補う治療を受けることが大切です。
失ってしまった歯を補う治療法
歯を失ってしまった場合の治療法として、大きく分けると「ブリッジ」「インプラント」「入れ歯」という3つの選択肢があります。
3つの治療法のどれが良い・どれが悪いということではなく、それぞれの治療法にメリット・デメリットがあります。そのため、あなたのご希望や理想とするライフスタイルに合わせてベストな選択をすることが大事です。
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて、詳しくお話します。
1ブリッジ
失ってしまった歯の両隣の歯を使って被せ物を入れる治療法です。
<メリット>
- インプラントと違って手術がない
- 入れ歯着脱の手間がない
- 入れ歯と比べるとしっかり噛める
<デメリット>
- 両端の歯への負担が大きい
- 両端の歯が残っていないと治療できない
- 多数の歯が抜けている場合は対応できない
2インプラント
歯の根の代わりになるボルトを入れ、その上に人工の歯を被せる治療法です。
<メリット>
- ブリッジと違って周囲の歯を削らない
- 入れ歯より噛む力が強い
<デメリット>
- 手術が必要
- 治療期間が長い(3〜6ヶ月程度)
- 持病があると治療できないケースがあり
- あごの骨の状態により治療できないケースがある
- 治療本数によっては費用がかなり高額になる
3入れ歯
人工の歯を歯ぐきにかぶせる、またはバネや金具で固定する治療法です。
<メリット>
- 手術の必要がない
- たくさんの歯がないケースでも対応可能
- インプラントに比べて体へのダメージが少ない
<デメリット>
- 選択する素材によっては噛む力が弱い
- 選択する素材によっては見た目が良くない
- きちんと設計できていないと違和感が強い
なぜ、入れ歯という選択なのか?
インプラントという選択肢が人気を集める傾向にある中で、私があえて「入れ歯」という選択肢について積極的に研鑽を積み、そして多くの患者さんに提案してきたことには、それなりの理由が当然あります。
ここまでお話したように、歯を失ってしまった場合の治療の選択肢としては「ブリッジ」「インプラント」「入れ歯」という3つの選択肢があり、それぞれの選択肢にメリットもあればデメリットもあります。
なので、どれが良いかというのは一概に言えませんし、その患者さんの症状や歯とお口の状態、あるいは骨などの身体の状態によって、変わってくるものです。
その点については、いくら私が入れ歯について積極的に研鑽を積んできたとは言え、それぞれのケースにおいて最善と考えられる治療の選択肢を客観的にお伝えしています。
ただ、これまでに歯を失ってしまった方の治療をたくさん経験してきた中で、私は今、入れ歯という治療の選択肢について、あらためて見直すことが多くなりました。その理由は、3つあります。
まず最大の理由は、設計の自由度が高いことです。健康保険を利用して作ることができるものですし、自費診療も視野に入れて考えることができるのであれば、その選択肢はかなり広がります。それだけ、あなたにフィットした入れ歯を作れるベースがあるということです。
また、人間の骨格というのは、年齢を重ねるとともに変化するものですが、入れ歯は細かい調整をしながら使い続けていくことができるので、身体の変化にも柔軟に対応することができるという意味でも、自由度が高い治療法と言えるでしょう。
加えて、インプラントの場合は、持病や骨の状態が原因でそもそもインプラント治療は不可能というケースもあります。入れ歯の場合には、そのような心配がなくどなたにでも選択可能な治療となりますので、その意味からも自由度の高い治療法と言えます。
2つめの理由は、身体を傷つけるリスクが低いからです。ブリッジであれば、歯を失ってしまった部分の両隣の歯を削る必要が出てきます。インプラントであれば、手術が必要です。入れ歯の場合には、歯を削ったり手術をしたりする必要はありません。
患者さんの身体的な負担が少ないことは、治療を受ける患者さんにとって大きな安心材料となるでしょうし、それだけ心理的なストレスも少なくなるわけですから、患者さんにとって大きなメリットになると考えています。
3つめの理由は、不具合が起きた場合のリスクが低いことです。入れ歯の場合、問題があれば簡単に外すことができます。そして、外しておけばトラブルは解消されます。ブリッジやインプラントの場合は、どうしてもトラブルを解決する大掛かりな治療が必要になります。
これは、特に高齢化社会における重要なテーマだと考えています。というのも、もしも将来に介護を必要とする状態となった場合、取り外しが可能な入れ歯であれば、介護をする方の負担がかなり軽減されます。
このような理由から、私は「入れ歯」という治療法の可能性をあらためて見直しているところです。さまざまなことに考えを巡らせたときに、私がそもそも「入れ歯」という治療の選択肢に対してポジティブな考え方を持っていたということを差し引いても、「入れ歯」は非常に優れた選択肢になりうるものと確信しています。
もちろん、ブリッジやインプラントにも、それぞれの良さがあります。そして、患者さんの症状や状態によっては、ブリッジやインプラントが治療の選択肢として優先されるべきケースはもちろんあります。それは、歯科医療の専門家として、私もよく分かっています。
ただ、入れ歯は不便とか、入れ歯は不具合が多いといった先入観のようなもので入れ歯という選択肢を外してしまうのは、「歯を失ってしまったとしても健康で豊かな人生を送るために」、そして「快適な生活を送るために」という観点から考えると、もったいないことです。
入れ歯の設計次第では、かたいものでもしっかり噛めることはもちろん、見た目の自然な美しさを求めることができる入れ歯もあります。
- 快適に使える入れ歯を手に入れたい方
- 自分にピッタリ合う入れ歯を作りたい方
- 見た目も自然な入れ歯が欲しい方
そのような方は、まずは当院へご相談にお越しいただければ幸いです。
